株式会社レクター 代表取締役 広木大地
資源利用効率が上がると単価が下がり需要が拡大し、結果的に資源消費量が増える現象をジェボンズのパラドックスという。
19世紀英国で蒸気機関改良が石炭需要を逆に急増させた例が典型。
ソフトウェアにおいても同様のことが再現され続けている。
文字を書くことが、ソフトウェアと同じように高度なスキルだった時代、古代エジプトの書記官は、現代の役人に相当する重要な職業
王室や神殿の記録、税の徴収、財産の管理など、幅広い業務を担う
1990年代以降、米国では景気回復後も雇用が遅れて回復する現象が続いている。92年、2002-03年、リーマンショック後と、株価は早期に回復する一方で、失業率の改善には時間がかかった。
企業はIT投資による生産性向上を進め、一時的に雇用が減少。しかし新規企業とサービス産業が雇用を吸収し、結果として長期成長へとつながった。
不況で企業は中間技能のルーティン職を真っ先に削減し、 IT・自動化へ置換する。
景気が戻ってもその職は復活せず、雇用回復が遅れる「ジョブレス・リカバリー」が起きる。
新たな雇用は高技能専門職と低技能サービス職に集中し、中間層が痩せて 「ジョブの二極化」 が進む。
個人がエンパワーメントされる時、90%は見るだけ、9%がたまに投稿し、1%が継続的に創作してコミュニティや技術の波を牽引する。
コスト・スキル差・マインドセットで参加が偏り、少数派が経験と評価を累積して大きなリターンを獲得する。
新技術を早期に触り継続アウトプットすれば、意外に低いハードルでその1%に入り、エンパワーメントの恩恵を享受できる。
それらを考えてみても、情報の洪水の前で意思決定や休みのない頭脳労働が 増加し続けている。
昔は、標準化やマニュアル化、最近は可視化と最適化。「正しさ」の視点が変わる。
できる化(頼む)
自働化(任せる)
自創化(指し示す)
AIチャット利用
専門家ボット作成
社内エージェント化
自動化ワークフローへの組み込み
知識創造プロセスエージェント
「両利きの経営(Ambidextrous Organization)」とは、企業が「既存事業の深化(Exploitation)」と「新規事業の探索(Exploration)」という2つの異なる活動を同時に追求し、バランスよく実行する経営手法です。
なぜ、業務システムは存在するのかと言うと、 個人の集合を法人と言う 1つの知性体 として活動させるためである。
スマートフォン以後、顧客や事業パートナーとの共同での業務活動もスコープに入った。。
今後は、システムは形式化された記録だけでなく従業員が持っていた企業の暗黙知も含めた創造プロセスのエージェント化ができるようになる。
SoR は、組織の主要な情報を一元管理
SoE は、顧客と企業との双方向のやりとりを実現する。
SoK は、企業の知識創造プロセス全体に対してのシステム
SECIモデルの各フェーズにAIエージェントが介在した自働化を実現して、企業の知識創造を助け、また自律的に深めていくようになる(自創化)
実践の場の非構造データをナレッジベースとして管理して、実践の場での訓練やヒントを生み出すAIエージェント
ナレッジベースの統計情報を元に分析を行い、あたらしい知見を創出するAIエージェント。
形式知に基づいて、効率的な実践の場を支援するAIエージェント。
新しい知見を実践の場で活用できるような知識の形に形式知化をおこなうAIエージェント
通話記録から対応パターンを学習し、オペレーター向けトレーニング素材を自動生成
顧客満足度データを分析し、効果的な対応手法を発見・提案
リアルタイムでナレッジベースをもとに顧客対応するエージェント
現場の知見を標準手順書として形式化し組織全体で共有
マクロな「日本は終わり/AIが仕事を奪う」といった物語より、自分にとっての具体的なチャンスとリスクという“ミクロ視点”こそが意思決定で重要。
競争相手はAIではなく人と企業。変化の初期段階で飛び込み、希少スキルやアービトラージを押さえた者が相対優位を得る。
組織も個人も 「知の探索」と「知識創造システム」への投資 で変化を味方にし、まず自らAIを使って走ることが重要になる。